大阪地方裁判所 平成4年(ワ)7229号 判決 1992年9月11日
原告
日本信販株式会社
右代表者代表取締役
糸井正男
被告
松永春雄
主文
原告を債権者、被告を債務者とする大阪簡易裁判所平成四年(ロ)第五九〇九号支払命令事件の仮執行宣言付支払命令に対する被告の異議申立を却下する。
事実及び理由
一本件記録によれば、(1)原告を債権者、被告を債務者とする大阪簡易裁判所平成四年(ロ)第五九〇九号支払命令事件(以下「本件事件」という。)について、平成四年六月一一日付で支払命令(金額、一一九万八〇一四円及び一一九万円に対する平成三年五月二八日以降支払い済みに至るまで年29.20パーセントの割合による金員)が発せられ、同月一五日債務者被告に送達されたこと、(2)債権者原告は、同命令につき、仮執行宣言の申立てをし、同年七月二七日付で仮執行の宣言が付され、同年八月六日債務者被告に送達されたこと、(3)債務者被告は、この仮執行宣言付支払命令に対し、同月二〇日付の異議申立書を提出したが、同書面が大阪簡易裁判所に受付けられたのは同月二一日であること(以下「本件異議申立」という。)、(4)大阪簡易裁判所書記官は、本件異議申立により本件事件について大阪地方裁判所に訴えの提起があったものとして本件事件の記録を同裁判所書記官に送付したことが認められる。
二以上の事実によると、本件異議申立は、債務者被告が仮執行の宣言を付した支払命令の送達を受けた日から二週間を経過した後になされたもので不適法であることは明らかである。
したがって、原告の本件事件にかかる請求は、当裁判所に訴えの提起があったものとみなすことはできないが、前記認定のとおり、右請求が当裁判所に係属しているかのような外観が生ずるに至っている。
そこで、当裁判所は、右形式上の係属を排除するため、民事訴訟法四四一条の趣旨に則り、本件異議申立を却下することとし、主文のとおり判決する。
(裁判官井筒宏成)